リフォームするなら「見えるところ」だけでなく「見えないところ」も

 完成すると隠れてしまう場所にこそ、大切なものがあります 

リフォームを考えるとき、皆さんはどこに一番興味を持たれるでしょうか。
新しいキッチン。
きれいなお風呂。
おしゃれな洗面台。
好みの壁紙。
無垢の床材。
もちろん、毎日目にするものが新しくなり、住まいの雰囲気が変わることは、リフォームの大きな楽しみです。
完成後の姿を想像しながら、色やデザインを選ぶ時間も楽しいものです。
しかし、住宅をつくる立場として、私たちが同じくらい、あるいはそれ以上に大切にしていただきたいと思っているものがあります。
それが、「完成すると見えなくなる部分」です。

壁を壊したときにしか見えないものがあります

普段の生活では、壁の中を見ることはありません。
床下や天井裏を見る機会もほとんどないでしょう。
しかし、リフォーム工事で壁や床を解体すると、それまで隠れていた住まいの状態が見えてきます。
断熱材はきちんと施工されているか。
構造材に傷みはないか。
湿気の影響を受けていないか。
配管はどうなっているか。
そして、耐震性を考えたときに補強した方がよい部分はないか。
築年数が経過した住宅では、建てた当時の基準や施工方法が現在とは異なる場合もあります。
だからこそ、リフォームで壁や床を開けることは、住まいの状態を確認できる貴重な機会でもあるのです。

断熱材は、完成すると見えません

新しいキッチンなら、毎日見ることができます。
新しい壁紙も、新しい床も目に見えます。
ところが、壁の中に施工した断熱材は、工事が完成すれば見えなくなります。
耐震補強に使った金物や構造材も同じです。
では、見えないものだから重要ではないのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
むしろ、冬の暖かさ。
夏の涼しさ。
冷暖房の効きやすさ。
地震に対する安心。
こうした毎日の暮らしを支える基本的な性能は、見えないところにあることが多いのです。

「新しくなった」から「暮らしが良くなった」へ

たとえば、築年数の経った住宅でキッチンをリフォームしたとします。
工事前は古いキッチンだったものが、最新の使いやすいキッチンになった。
収納も増えて、掃除もしやすくなった。
これは十分に価値のあるリフォームです。
しかし、もし同じ工事の中で、寒かった窓を改善できた。
床や壁の断熱性能を見直すことができた。
必要な構造補強ができた。
としたらどうでしょうか。
見た目だけでなく、住み心地や安心まで改善できるリフォームになります。
私たちが目指したいのは、「きれいになりましたね」だけではなく、「この家、前よりずっと暮らしやすくなったね」と言っていただけるリフォームです。

「断熱」と「気密」は一緒に考えることが大切

断熱性能を考えるとき、もう一つ忘れてはいけないのが「気密」です。
せっかく断熱材を入れても、建物にすき間が多ければ、そこから外気が出入りしてしまいます。
冬に厚手のダウンジャケットを着ても、前のファスナーを開けたままでは寒いのと少し似ています。
断熱材を入れるだけでなく、その性能をきちんと発揮できるよう施工する。
これは新築でもリフォームでも大切なことです。
建築のひら木が新築住宅で断熱性能とともに気密性能を重視しているのも、設計上の数字だけでなく、実際の住み心地につなげたいからです。
そして、その考え方はリフォームでも変わりません。
耐震も「見えない性能」の一つです
そしてもう一つ、忘れてはならないのが耐震性です。
特に築年数が経過した住宅を大きくリフォームする場合には、現在の建物がどのような状態なのかを確認することも大切です。
断熱性能だけを高めればよいわけでも、耐震性能だけを考えればよいわけでもありません。
これから長く住み続けるのであれば、「暖かい・涼しい」という快適性と、「安心して暮らせる」という安全性。
その両方を考えることが重要です。

壁を閉じる前だからこそ、できること

リフォームには予算がありますから、何でもすべて施工すればよいということではありません。
しかし、一度壁や床を閉じてしまえば、次に確認できるのは何年も先になるかもしれません。
だからこそ、
「この機会に確認した方がいいところはないか」
「今、一緒に施工した方がよいものはないか」を考えることが大切です。
それは、完成写真には写らないかもしれません。
お客様のお友達が遊びに来ても、気付かれないかもしれません。
それでも、毎日の暮らしの中で、
「冬の朝が前ほど寒くない」
「夏もエアコンが効きやすくなった」
「これからも安心してこの家に住める」
と感じていただける。
そんな見えない価値こそ、私たち建築会社が大切にしなければならない部分だと思っています。

次回はいよいよ9月シリーズの最終回です。
これまでのお話をまとめながら、
「リフォームは家を直すことから、暮らしを良くすることへ」
というテーマでお話しします。

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