みなさんは、擁壁(ようへき)という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことはあっても、じつはよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
「擁壁」は、土地を購入して新築をする際にも、中古物件を購入する際にも、どちらの場合も知っておきたいキーワードのひとつです。
場合によっては、設置や修繕をするのに数百万円から数千万円もかかってしまうこともあります。
そこで今回は、そもそも擁壁とは何か、どんな場合に擁壁が必要なのかをご説明します。

擁壁って何?
「擁壁」とは、崖などの崩壊を防ぐための「土留め」として、コンクリートブロックや石などを使った「壁状の構造物」のことです。
道路から敷地が少し高くなっていて、その上に建物が建てられる場合、もしくは、隣り合った敷地に高低差がある場合には、崖や盛土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために壁が必要になります。
それが「擁壁」です。
もし擁壁がなかったら、そのまま自然の状態にしておくと、横からの圧力によって斜面が崩壊してしまうこともあります。
つまり、「擁壁」は建物を守るという大切な役割を担っているのです。
擁壁にまつわる、よくあるトラブル
どんなに頑丈につくられた擁壁でも、数十年という時を経て、次第に劣化が進んでいきます。
古い擁壁がある物件を検討するときには、とくに注意してその状態を確認する必要があるといえそうです。
もちろん、新しい擁壁であれば安心ということではなく、亀裂やひび割れが生じていることもあります。
補修したとしても、ほとんどの場合、根本的な解決にはならないということです。
高さや面積にもよりますが、擁壁の工事費用は数百万円から数千万円になる場合もあります。
土地や物件を購入する場合には不動産売買契約締結後、あるいは引渡し後に擁壁のつくり直しが必要となってしまった……ということのないように、擁壁も含めてしっかりと物件確認をする必要があるのです。
隣人との関係にも注意
隣り合った敷地に高低差があり、その間に擁壁をつくる際には、上側の敷地所有者の責任のもと、上側の敷地内に擁壁が設置されるケースが多く、この場合は、上側の敷地所有者が費用負担をすることになります。
ただし、上側の敷地所有者が擁壁をつくらなければならないといった法律や決まりはなく、あくまでそうするケースが多い、ということです。
下側の敷地において、地盤を削るなどなんらかの事情で高低差が生じた場合には、下側の敷地内に擁壁を設置することから、下側の敷地所有者の費用負担となります。
また、隣地との間の古くなった擁壁を、不動産業者の負担でつくり直すケースもあります。
このとき、費用負担の代わりに敷地の一部を提供し、境界線上にまたがって擁壁をつくる条件が提示されることがあります。
さらに、擁壁の基礎部分が土地の境界線を越えている場合などもあり、その場合は上側と下側の敷地所有者の協議のもと、擁壁をつくる、または修繕をする費用を折半することも考えられます。
しかし、当初は問題がなくても、年月を経て所有者が変わるうちに、擁壁をつくった際の経緯がわからなくなるケースもあり、修繕が必要になった場合などに、どちらが費用を負担するのかなど、トラブルに発展することが少なくありません。
このように敷地の境界線につくられることが多い擁壁は、その分、隣人とのトラブルになりやすいポイントでもあるのです。
次回は「擁壁の種類」についてお話いたします。

